2016
09.11

影であること、影となること。『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影(シャドウズ)』感想。

Teenage_Mutant_Ninja_Turtles_Shadows
Teenage Mutant Ninja Turtles: Out of the Shadows / 2016年 アメリカ / 監督:デイブ・グリーン

あらすじ
ブヤカシャー!



宿敵シュレッダーの脱獄を知ったカメ忍者4兄弟のタートルズは、レポーターのエイプリルらと協力してシュレッダーを捕らえようとする。しかしそこに予想外の強敵が現れて大ピンチに。果たしてタートルズはニューヨークを救えるか!マイケル・ベイ製作のカメ忍者アクション『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』の続編。

超楽しい!冒頭のパラマウントの星が手裏剣になっているところからワクワクです。摩天楼を飛び回り、特等席からバスケ観戦、パレードに出席と、ニューヨークを満喫するレオ、ラファ、ドナ、マイキーのタートルズ。前作でのリアルテイスト・カメたちによる痛快さをさらに進化させ、アトラクション的なハイスピード・アクションやアガるギミックの数々をこれでもかと放り込む!タートルズの専用車・タートルワゴンは楽しいし、前作の雪山に続く空中飛行機渡り、激流川下りなどは喝采もの。前作でキャラ紹介は済んでるのでのっけからハイテンションで、またもや兄弟ゲンカしたり、人間への憧れがせつなかったりもしますが、いざとなれば正義を貫くあいつらが本当もう愛しい。往年のヒット曲もバンバンかけてノリノリ。最高!カワバンガ!

タートルズのマブダチ、エイプリル役のミーガン・フォックスは、秘書風のブロンド・メガネ・スーツ・胸元ボタン開けや、JK風スカートにシャツの裾結び、さらにはタンクトップ姿など様々な姿を魅せてくれて最高すぎなんですけど……なんだあれ、女神か……ヴァーン役でちょっとケヴィン・コスナー似のウィル・アーネットも続投、前作の功績か「ファルコン」という二つ名を付けててイラッとしますが、その立場を活かした役割を与えているのが上手い。また、初登場となるホッケー仮面ことケイシー・ジョーンズ役はスティーブン・アメル。観てなかったので後で知りましたが、ドラマ『ARROW』のアロー役なんですね。いいアクション披露してたのに終盤は逃げるだけだったのが勿体ない。しかしミーガン・フォックス、女神か……

敵キャラは原作でもおなじみながら若干魅力に欠けるとか、「えっシュレッダーさん!?」とかちょっと不満もあるんですが、カメたちが可愛いから許す!それぞれが活躍するごとに、思わず心の中で名前呼んじゃうんですよ。「ドナ天才すぎ!」「レオお堅い!」「ラファ飛べよ!」「マイキーピザ食いすぎ!」みたいに。思えばはみだし者の4人が人知れずニューヨークを救うゴキゲンムービーという点では『ゴーストバスターズ』とも共通してますね。サポート役の仕事ぶりが『ゴーストバスターズ』のケヴィンとエイプリルとでは大違いですが……とにかく娯楽要素をふんだんに盛り込んでのサービスぶりで、観客を楽しませようという気概に溢れるスーパー・エンターテインメント。前作観てなくてもノリでいけそうです。なぜ「影(シャドウズ)」なのかも熱いぞ。

↓以下、ネタバレ含む。








タートルズは見た目に結構差があるというのもありますが、キャラ立ちがしっかりできているのでどれが誰、という混乱がないですね。序盤にキャプションで紹介がありますが、ルネサンスの芸術家から取った名前と共にそれぞれの特徴が一言で表されてます。レオ(レオナルド)は「リーダー」、相変わらず融通が効かないというかクソ真面目というか。ラファ(ラファエロ)は「タフガイ」、でも高所すぎるのはダメらしいです。あとヴィン・ディーゼルのファンらしいです。カメに出会って気まずいカメ。ドナ(ドナテロ)は「頭脳派」、というか天才。あっという間に飛行機から飛び降りるのは潔さというより計算が済んでるからでしょうか。マイキー(ミケランジェロ)だけなぜか紹介が「ピザ大好き」ですが、実際ピザ食いすぎだしピザ落とすしピザ食いすぎ。そんなタートルズが装備やガジェットも増えて、ティーンらしくますます後先考えず大暴れ、これが楽しい。今作では専用ビークルであるタートルワゴンも登場、ゲーセンのような飾り付けがいかにもタートルズらしい賑やかさでありながら、巨大ヌンチャクやマンホールシュートなどのマンガチックなギミックもしっかり実装。

アクションシーンはカメラワーク激しすぎるのでちょっと動体視力が求められますが、マイキーのホバーボードやラファのダブルラリアット、意外と役に立つドナの棍棒など個々の戦い方もユニークさが増してます。あとシュレッダーさんとこのニンジャ軍団による忍びアクションも上手い具合にニンジャっぽい。パワーファイターぶりがスゴいサイ&イノシシことビーバップ&ロックステディは、あまりにバカすぎてちょっとイラッとしましたが、まあ何も考えてない陽気さが愉快ではあります。問題はそのボスであるシュレッダーさんで、散々悪の親玉面をしておきながら大したこともせず最後はあっけなくコレクション化、というのには少々ガッカリ。忠実な天才博士をわざわざ追放するのも意味不明だし(しかもなぜ東京?)。そして新たなラスボスであるクランゲ、ロボット部分がグルグル回ったりするのは面白いんですが、登場があまりに唐突だしいきなりチートだし、セリフや性格が普通にゲスい悪役という感じでどうも魅力に欠ける気がします。原作コミックに寄せた結果なのかもしれませんが、悪役たちはちょっとコミカルすぎるのが気になりますね。ドナがクランゲやその兵器の名前までわかるのも都合よすぎるし、あと細かい点はもちろん違いますがラストバトルの構図が前作と一緒に思えちゃうのがちょっと新鮮味に欠けます。

ただ、初っ端に書いた「超楽しい!」という感覚が全てを抑え込んでくれるので、不満点がそれほど後を引かないんですよ。前作感想の書き出しは「楽しい!」だったんですが、それを上回ってるのです。それは前作で物足りなさを感じた「自分たちが異形であることの悲哀」、そして「ニューヨークの街との関係」というものが描かれているから。人間になれる薬に激しく惹かれるラファとマイキーには、自分たちが人間と違うことに対する後ろめたさが実は根深くある、というのがわかります。「兄弟だけどチームじゃない」とまで言い放ちこれを制するレオでさえ、ドナから薬のことを聞いたとき一瞬動揺するくらい。マイキーがハロウィンパレードに「これならバレない」と大はしゃぎする姿も、思い返すとせつなくなってきます。だってあいつらティーンエイジャーなんですよ?街で普通の若者のように遊びたい年頃なんですよ。そんな彼らが「要塞兵器の近くは普通の消化器官では死ぬがタートルズなら行ける」という無理やりな理由付けはあるものの、人間になれる道を捨ててまでタートルズとして立ち向かうという決断はやはり熱いのです。

そしてその思いを結実すべく警察に正体を見せて協力依頼を要請するタートルズ。夜の闇のなかではなく昼の光のなか、堂々と姿を表して「俺たちはチームだ」と言う4人の並び立つ姿には泣けます。そしてクランゲを追い払ってニューヨークを救い、街の象徴たる自由の女神をバックに栄誉である「街の鍵」を受け取るタートルズ。本当の姿を見せても受け入れられるかもしれない、でも自分たちが異形であることは重々承知、だからこれからも「影」としてニューヨークの街を守っていくのだという決意。それは「隠れる」のではなく「見守る」、つまり「日陰者」から「守護者」になるということであり、タイトルの「Out of the Shadows」が示すのはまさにそれです。誇らしげに、かつ陽気に並び立つ彼らが愛おしいです。

ちょっと人間になった姿も見てみたかったけど、さすがにそれはやっちゃダメですね。何より「タートル・パワー!」という勝どきに、人間ではないという負い目をも吹き飛ばした感があって良いです。まあ警察にはもう事情が伝わったから下手に追い回されることもなくなるし、エイプリルという最高にセクシーな相棒もいるし(彼女の「カワバンガ」にはシビれる……女神か……)、ケイシー・ジョーンズというわりと頼りになる仲間も増えたし、息が200ドルで売れる男ことヴァーンも何かと役に立つし、スプリンター先生は何だかノリが良くなったしで、活動範囲もますます広がりそう。またあいつらに会いたい、と思わせてくれる出来だったので、ぜひシリーズ化してほしいですね。

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