2016
09.07

明かりを灯せ、家族を救え。『ライト/オフ』感想。

lights_out
Lights Out / 2016年 アメリカ / 監督:デビッド・F・サンドバーグ

あらすじ
一番下の引き出しッ!



家を出て独り暮らしをするレベッカの元に、児童施設から幼い弟マーティンを預かっていると連絡が入る。マーティンは母と暮らす家で、暗闇になると現れる何者かに怯えていた。弟を守るべく、久しぶりに実家へ戻ったレベッカだったが、次々と明かりが消えて……。1億5000万回も再生されたという恐怖動画を、『ソウ』『死霊館 エンフィールド事件』のジェイムズ・ワン製作で映画化したホラームービー。

闇になると襲ってきて、光があると消える何か恐ろしいもの!というホラーです。元ネタの動画もなかなか怖いですが、それを同じ監督で長編映画にしたのが本作。『イット・フォローズ』などもそうですが、こういう法則性を持つホラーは、いかにして危険を避けるかがロジカルに描かれて面白いですね。暗いと襲われるのでライトを点けまくる、しかしそのライトが心許なく揺れたのち消えていく焦り、その状況を必死で覆すスリル。ライトのオン・オフという特徴的な攻防の見せ方がとても良いです。銃撃時のアレには感動すら覚えましたよ。

意外と優しいロック姉ちゃんのレベッカを演じるのは、ちょっとクリステン・スチュワートを思い出すテリーサ・パーマー。『ウォーム・ボディーズ』『X-ミッション』のヒロインの子ですね。強気さと若干病的な雰囲気が良い感じ。このレベッカと年の離れた弟君とのやり取りが好ましい。弟君はビビりなのに健気に頑張るのも良いです。二人の母親であるソフィーが、レベッカよりさらに病んでる感じで不穏さを煽ります。そして素晴らしい機転を効かせるレベッカの彼氏ブレット、始めこそチャラい奴なのかと思わせて、どんどん好感度が上がっていくのが最高です。

やや甘いところもありますが、81分という短い時間で人物の背景も描きつつ絶望的な恐怖を味わわせるのは実に良いです。最後は思わず泣きましたよ。いやあ面白かった。ちなみに観る前に「ジョジョっぽい」という噂を聞いていたんですが、確かにこいつぁジョジョラー必見だッ!

↓以下、ネタバレ含む。








ジョジョ好き向けに言っておくと、闇の中しか動けないというのはブラック・サバスだし、ろうそく持って消えないようにするマーティンはジョルノのようだし、カーペットめくったら落書きがあるのはヴァニラ・アイスを思い出すし、どこまでも追ってくるなんてシアーハート・アタックみたいだし、陽の光でダメージを受けるとか何そのヴァンパイア属性、ディオ様じゃあないかッ!?と連想が止まりません(若干こじつけあり)。

冒頭の明かりの中にマネキンが立ってるのからしてちょっと恐いんですけど!音で驚かすのもありますが、光があるぶん周囲の闇の暗さが際立ち、そこに感じるプリミティブな恐怖が具現化して襲ってくるようなダイアナには、暗いところならどこからでも出てきそうな恐ろしさがあって特に前半はビビります。でも霊的な恐さはさほどでもないですね。ソフィーが「ダイアナは霊じゃない」と言うように、幻が実体化したという方が近いかも。と言うか、ダイアナはむっちゃ物理攻撃です。ぶん投げる、掴んで引っ張る、傷を残すという、普通に肉体的なダメージで殺られそう。

そんなダイアナとのライト攻撃によるせめぎ合いが面白いです。銃を撃ってもマズルフラッシュで消えるから当たらない、というのにはシビれました。ネオンやロウソクの明かりでは消えるけど、ブラックライトなら消えないので照らしながら別のライトでダメージを与えるという攻略法を見つけるのもイイ。そしてスマホの明かりで、車のヘッドライトで、とギリギリかわしていくブレットの機転の利かせ方が最高。彼は最初の適当そうな感じと違って、レベッカを諌める姿や、レベッカに「タンスの引き出しを一段開ける」と言われた後の喜びようなど、超ナイスガイでした。

どこまで暗ければダイアナの行動範囲なのか、ライトを持つ者の背中の闇は大丈夫なのか、闇の中ならドアで隔てられててもワープできるのか、などちょっとルールが曖昧なところはあるんですよ。レベッカの部屋のドアをノックしたのがダイアナだとしたら、あんな明かりのついた廊下でどうやって?とか、照明をジジジ……と消すことができる(ように見える)のも都合がいい。ダイアナに襲われると目を抉られる、なのかな?そこもちょっと分かりにくいですね。でもまあ許容範囲です。

ダイアナが闇でしか現れないのは特殊な皮膚病を患っていたために光で焼き殺されたからですが、どういう人物なのかは今一つハッキリしません。精神病院で少女の頃のソフィーに近付き、友人を見捨てたという罪悪感を突いてソフィーに取り憑いたことから独占欲が強いのだろうとは思います。他人の頭の中に入れると言っていたから、死ぬ前にその能力でソフィーの頭に自分を移したのでしょう。しかし「ここも病院と同じだ」という壁に書き残した文字から、ソフィーの頭の中でも自由にできないという苛立ちがあって、それが居場所を奪おうとする者への攻撃となるということでしょうかね。

レベッカが家を出た「複雑な事情」は結局ダイアナから逃れるためでしたが、弟のマーティンが過呼吸になるほどビビりながらもママのために残ろうとする姿に打たれてダイアナ退治に挑みます。「三人で映画でも観ましょう」という台詞にソフィーはもう手遅れだと観てる方としては思いますが、「助けて」のメモでソフィーもまた救われるべき対象だとわかります。だからソフィーの最後の身を呈しての決着、それもマーティンではなく「自分を捨てた」となじっていたレベッカを守るため、という悲劇には思いのほか心打たれました。父の死も含め、しっかり家族の物語に着地させるのがとても良いです。これ以上ない悲しい結末だったので、不穏さを残して終わるということをしなかったのも良かったです。……とか思ってたら続編の制作が決定したそうですが……まあ楽しみに待ちましょう。

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