2016
08.29

知らぬは飼い主ばかりなり。『ペット』感想。

Secret_Life_of_Pets
The Secret Life of Pets / 2016年 アメリカ / 監督:クリス・ルノー

あらすじ
ウサギは寂しいと狂暴になる(新説)。



ニューヨークで大好きな飼い主のケイティと暮らすことに幸せを感じるテリアの雑種犬マックス。しかしある日ケイティが毛むくじゃらの大型犬デュークを連れ帰ってきて一緒に飼うことに。相入れないマックスとデュークだったが、ひょんなことから2匹は大都会のど真ん中で迷子になってしまう……というCGアニメの動物コメディ。

飼い主不在時のペットがどう過ごしているか、という発想でここまでクレイジーなものを作るのはさすが『ミニオンズ』のイルミネーション・エンターテインメント。基本はドタバタコメディですが、ユニークでユーモラスな動物たちが次々と登場し、思いのほか話が広がって大冒険へと繋がっていく様が実にワクワク。動物たちの特性を活かしたギャグや予想外のアクション、追跡劇のスリルにブラックなネタまで入れながら、ちょっぴり泣ける場面もあり、という期待を裏切らぬ楽しさ。

舞台は大都会ニューヨーク、そこで生きるペットたちは個性豊か。マックスとデュークの主演二匹は親しみやすいデザインもあってしっかり推進力を持っています。いがみ合う関係の推移も自然。この二匹の日本語吹替はバナナマンの二人ですが、これはなかなか良かったです。他にはとんでもないポテンシャルを持つメスの小型犬ギジェット、ダイエットに耐えられないメス猫クロエ(声は永作博美)、かわゆいウサギちゅわん~と思ったら意表を突かれるスノーボール(声がバイキンマン!むしろフリーザと言うべきか)など愉快なキャラの愉快な絡みがたまりません。個人的にはヘドバン犬レナードには一緒に首を振りたくなります。

小気味いいテンポと個性的なキャラによるジェットコースター展開には安心感さえ感じます。もっとお涙頂戴にできそうなところを敢えて踏みとどまってる感があり、それが軽薄さではなく軽快さをもたらしてるのも好感。なので説教臭さは皆無なんですが、それでいて必死で家に戻ろうとするマックスたちの奮闘する姿を見てると「ペットは責任もって飼おう」と思えてきます。

ちなみに同映としてミニオンズの短編『ミニオンズ アルバイト大作戦』が付いてます。たかが芝生刈りでここまで大騒ぎになるのか!というスラップスティックのお手本のような一本。とりあえず尻は見せるというのがさすがミニオンです。

↓以下、ネタバレ含む。








主人のお気に入り、そこに現れる新顔、消えた両者を探して仲間たちが駆け回る、という人間の知らない世界。この基本設定やキャラ配置を鑑みると、どうしても『トイ・ストーリー』を連想させますね。ダックスフントが高所に登っていくシーンなどはバネ犬おもちゃのスリンキーみたいだし。動物たちが家に帰るという観点では『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』に通じるところも。ただ、だからと言って二番煎じというわけではなく、物語の過程には十分独創性が詰まってるのが良いです。

デュークを陥れようとして結果的に自分も酷い目にあう、という利己的な主人公マックスほか、どこかひねくれたキャラも多いんですが、特にイヤには感じないですね。野生に帰りたいという帰巣本能的な展開にはせず、人間に飼われる幸せ、捨てられた恨みという、あくまでペットとしての立ち位置は崩しておらず、それが一貫しているのでノイズもないです。元ペット軍団に人間に捨てられた悲哀を背負わせながらも重くは描かず、逆に復讐だーというアグレッシブさがあって、ある意味ポジティブ。

それでいて大蛇があっさり死んじゃったり、凶悪ウサギの暴力性や補食しようと企むタカ(ワシ?)、タトゥーまみれにされたブタや車椅子の老犬の裏の事情にも精通した感じなど、ブラックな一面もあります。また、突然始まる『アーロと少年』なみにラリったウインナー王国のシーンなどはクレイジーすぎてハイになりそう。なんすかアレ。最高なんだが。小型犬ギジェットが見せる超絶アクションには燃えるし(強すぎ)、落ちそうになる車や『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』のようにガラスがピキピキする恐怖や水中からの脱出などもスリリング。いやもうなんて長い一日だ!という感じです。

別にもう少し感傷的にしてもいいかなとは思いますけどね。探しにいったデュークの元の飼い主が既に亡くなっているというくだりも、すぐ場面が展開しちゃうのでちょっとあっさりな感じはあります。でもそのぶんケイティの元に戻れたときの嬉しさみたいな方に重点が置かれてるのでょう。最後はウサギもキュ~ンってなっちゃうのが可愛いです。ニューヨークの街並みを見ながら座る二匹と一人の姿は、寂しく感じがちな都会の風景に暖かいものを残します。この手の作品にしてはエンドロールが地味なので一工夫あってもよかった気もしますが、あえて余韻を残した終わり方とも言えそうです。

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