2016
07.24

同窓生にご用心。『アフタースクール』感想。

afterschool
2008年 日本 / 監督:内田けんじ

あらすじ
何も言えません。



※レビュー・リクエストいただきました。ありがとうございます!

中学教師の神野の元にかつての同級生を名乗る男が尋ねてきて、神野の幼馴染で一流企業に勤める木村を探していると言う。神野は成り行きで一緒に木村を探すことになる。大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人主演のミステリー。

いやこれはやられた。久々にスカッと騙されるミステリーでした。物語は堺雅人演じる木村の何気ない朝の風景、大泉洋演じる神野と木村の絡みから始まります。この中学の同級生らしい二人に加え、やがて怪しげな商売を行う佐々木蔵之介が登場して、木村を探していると神野のところにやってくる。事態はどんどん思わぬ方向へ進んでいき、巧みな語り口により意外な展開に驚くことに。これは伏線かな?というのが随所にあるんですが、それがどう活かされるのかも実に上手い。いやあ良くできてます。

主要三人は良いですねえ。特に大泉洋のあの表情からのあのシーンとか、対する佐々木蔵之介のアレとか。常盤貴子や田畑智子ら女優陣も良いんですよ。どう良いのかは詳しく言えないんですが。この人どこかで……と思ったらムロツヨシもいたりします。歌舞伎町の今は無きコマ劇やミラノ座前がロケで使われてるのは懐かしい。

んー、これネタバレなしで語るのは難しいなあ。と言うか、これ以上の前情報は入れずに観た方が良いですね。ミステリーながらユーモアもあり、スリリングな展開ながら清々しさに満ち、最後にタイトルの持つ意味を知ってじんわりとします。ロジカルでアクロバティック。面白いぞ。

↓以下、ネタバレ含む。








映画的なトリックがふんだんに盛り込まれているのが素晴らしい。特に中盤の、北沢が神野を小馬鹿にしてからのどんでん返しにはちょっと声が漏れましたよ。ブツブツ文句言うだけの常盤貴子の親父って必要?何度か出てくる政治家はなに?北沢が「島崎」を名乗って来たときに、妹が惚れてたと言うのは?車の中に残された指輪の意味は?などなど、ミスリードの嵐、伏線のオンパレード。

他にも、社長が自分を臆病で用心深いと言うのはそのために木村が尻尾を掴めなかったという理由になっているし、神野たちがこんな大それた作戦に乗るのも警察が絡んで大黒社長が逮捕されたら片岡組長ももう"あゆみ"に手出しできないから、という整合性も取れてます。木村が車の合鍵を持っていたのは作戦上必要になるのを想定してあらかじめ用意してたのだろうし、たまたま妊婦を病院まで運んだムロツヨシの運転手も関係者だから近くにいたのでしょう。最初に出てくる写真に写る女が"あゆみ"であるとは言ってないのも細かい。冒頭の学校で手紙を渡す短いシーンからして伏線だし、そもそもキャストの役名自体がネタバレになってしまう。それら伏線を全て回収して、しかもそれが小粋に使われるというのが上手い。新しい靴のくだりなどはここで使うか!と憎たらしくなるほどです。

それでいて人物間のドラマもちゃんと描いています。借金で崖っぷちの探偵である北沢が学校でしか生きてこなかったと神野を卑下するところは、裏社会を知っている者の方が強くて一般人を操ることもできる、という悪の優越感のようなものですが、それを最後に「お前みたいにひねくれた奴はよくいるんだ」と真っ当に返す神野にはシビれます。この「真っ当さ」を貫くところが気持ちよくて、木村と神野が美紀を救おうとするのもこの真っ当さからだし、悪徳社長はエロDVDという屈辱の小道具で逮捕され、片岡組長は偉そうに木村の前に現れながら警察に相手にもされない、と悪党には踏んだり蹴ったりの真っ当な結末。

会うのが中学以来なのにお互いに誰だか分かるというのはちょっと都合いいな、とは思いますが、美紀とくっつくのが夫婦に見えた木村ではなく神野だった、というところまでやられちゃったらもう降参です。あの日言えなかった「一緒に帰ろう」によって、あの放課後の時が再び動き出すという、タイトルに意味を持たせるところまで小粋。ニクいです。

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