2016
07.17

男は裸足でクリスマス!『ダイ・ハード』感想。

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Die Hard / 1988年 アメリカ / 監督:ジョン・マクティアナン

あらすじ
ダイ・ハード=なかなか死なない。



※レビュー・リクエストいただきました。ありがとうございます!

クリスマスに家族と会うためLA?にやってきたNYの刑事ジョン・マクレーン。しかし妻の勤めるオフィスビルに到着したのと時を同じくして、そのビルがテロリストに占拠されてしまう。マクレーンは犯人たちを止めようと単身抵抗を始めるが……。その後もシリーズ展開される、ブルース・ウィリス主演のアクション映画。

今さら何をかいわんや、というアクション映画の金字塔にして、ブルース・ウィリスを世界的大スターに押し上げた『ダイ・ハード』。シリーズは5本作成されてますが、その記念すべき第一弾です。たまたまビルジャックの現場に居合わせてしまった刑事のジョン・マクレーン。ビルは閉鎖され、銃を持った男たちが見回るなか、マクレーンはエレベーターシャフトや通風孔を移動しながら悪人たちに立ち向かっていきます。

もう何度も観てますが、改めて観直すととにかく脚本がよく出来てることに唸ります。ビルの中という限定空間、武器もなく外部との連絡手段もないなか、マクレーンがいかに動くのかという基本設定。正体がバレないまま動き回るというスパイ的なスリル。ビルには妻がいてバレたら人質にされるというサスペンス。悪党たちはもちろん、気楽な運転手や意識高い系バカまで抜群なキャラ立ち。マクレーンと協力者との間に育まれていく男の友情。家族愛。そして様々な伏線が見事に機能していくのが実に快感。

今観ると思わず「髪がある!」と思ってしまう、若き日のブルース・ウィリスがとにかく魅力的。ついてない状況をボヤきつつ次の行動に移る、この「ボヤく」というのがユーモアを感じていいんですよ。決して諦めないので「グチる」じゃないんですね。ちょっと焦りながらも、とっさの判断とブラフと肉体を駆使して痛快な活躍を見せるのがたまりません。そして敵役のアラン・リックマン、スネイプ先生やトカゲヘッドもいいけどやはりハンス・グルーバー役はイイ。字幕じゃないと分かりませんが、後にマクレーンのキメ台詞となる「イピカイエー、マザファッカー」をハンスも言い返すというシーンがあったりして面白い。

そんな脚本とキャラを存分に活かしつつ、アクション映画としてのクオリティも素晴らしいんですよ。エレベーター孔などを使ってフロアをまたがる縦のアクション、様々なフロアを利用した横のアクションと、ビルの構造を上手く活かしており、スリルと興奮の連続です。脚本と演出と役者の完璧なケミストリー。万人にオススメしたい、最高のアクション映画の一つです。

↓以下、ネタバレ含む。








閉鎖されたビルで動けるのは一人きり、という状況で、それでも犯人を阻止しようとするのがアクション・ヒーロー、ジョン・マクレーンですね。武器もなし、おまけに裸足と、のっけから危機的状況。特に裸足であるというのが画期的で、裸足であることを気付かれガラスをばらまかれるというピンチにも繋がります。裸足なのは飛行機酔いを治すために靴下を脱いだためという理由もきちんとあるし、一度倒した敵の靴を履こうとしてサイズが合わなくて諦めるという描写もちゃんとある。意外と細部まで丁寧に作ってあるのが凄く気持ちがいいのです。最初白かったタンクトップ(と言うかランニングシャツ)が後半は真っ黒に汚れてたり、屋上爆破後に窓ブチ破るのも1回目は失敗して窓に足裏の血を付けて負傷を強調、2回目で成功するというのも細かい。妻のホリーが旧姓を名乗っていたり家族写真を伏せているのが伏線になっているとか、無線機やライター、ダクトテープなどのたまたま見つけた小道具をここぞで活かすのもやはり気持ちがいい。それでいてライターの火で居場所バレてピンチという、話を転がす役にも立ってるんですね。

なかなか死なない(かなり瀕死ではある)マクレーンもいいですが、犯人たちも結構キャラが立ってます。アラン・リックマンのハンスはマクレーンに劣らぬ存在感で、クレバーな対応や容赦のなさ、マクレーンに見つかった時のちゃんと声も変える猿芝居、そして最期の落下の表情までイイですねえ。あの落下シーンの表情は、撮影時に合図より早く落とされたリックマンの素のビックリ顔だというのが可笑しい。他にも乱暴兄貴カールとメガネ弟の電話線切断競争とか、そのクレイジーな兄貴のチェーン首吊りとか、金庫開け担当ハッカーの軽いノリとか。金庫が開いたときにベートーベンの第九が流れるシーンなんて感動すら覚えます。彼らはテロリストと見せかけて実は単なる金目当ての強盗なわけですが、思想的なものがないことを逆手にとって思想犯釈放で時間を稼ぐとか、ヘリで脱出と見せかけてそれも罠だとか、周到な計画がイカすんですよ。そして装甲車にはロケットランチャー!緻密さの合間にこの派手さ。これです。

マクレーンにとっては敵は強盗団だけじゃない、というのがさらに話を面白くします。ホリーを口説こうとする同僚のバカ、融通の効かない無能な警察上司、超偉そうなFBIや道徳心皆無のくそリポーターなど、短時間でキャラがよく分かります。大体調子こいてる奴はろくな目に会わない、というのも痛快。一方でマクレーンの味方となる警官のパウエルや運転手のアーガイルなども要所で活躍、特にパウエルとの関係性は、マクレーンへの夫婦生活アドバイスに始まり、彼の拭えない過去とそれによる現在という人生のスパイスまで効かせて、顔も知らないけど通じ合う一種のバディものとしての見方もできるのがまたニクいです。監督ジョン・マクティアナンは『ダイ・ハード3』でもメガホンを取ってますが、そちらはさらにバディものの趣が強いですね。

そして怒濤のクライマックスからラストにかけて、全てにキッチリとケリをつけるというのが凄いんですよ。絶体絶命の危機を覆してのハンスとの対決。ホリーとマクレーンの溝の象徴である「会社がくれた時計」を外してのハンスへの勝利。逃げる残党にトドメを刺す運転手のアーガイル。会ったことはないのに一目でお互いを分かるのが熱いパウエルとマクレーンとの邂逅。生きていたカールを撃つのが、銃を抜けなくなっていたパウエルであるという感動。子供たちを晒し者にしたレポーターへの強烈なホリーのパンチ。ボロボロの二人がそれでも優雅に乗り込むリムジン、からの「レッティッスノウ~♪」ですよ。これでもかと畳み掛けるラストがクリスマスのハッピーさにまで結び付く。完璧です。

でも観終わっての第一声が素直に「面白かった!!」だったりするのが気持ちいい。そして「メリークリスマス!」と言いたくなるのです。高い完成度ならではの快感です。

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