2016
07.16

鋼の体が見つめる絆。『リアル・スティール』感想。

Real_Steel
Real Steel / 2011年 アメリカ / 監督:ショーン・レビ

あらすじ
極悪男子!



※レビュー・リクエストいただきました。ありがとうございます!

人間大のロボットがリモコン操作で戦うロボット格闘技が盛んな2020年、その試合で大金を稼ごうと足掻く元ボクサーのチャーリーは、ある日別れた女との間にできた11歳の息子マックスを預かることになる。望まぬ共同生活をする父子だが、廃工場で旧式ロボットを発見したことから大きく変わっていく。ヒュー・ジャックマン主演の格闘ロボドラマ。

ダメ人間の父と、生まれて以来会ってない息子との親子ドラマです。チャーリーがどれだけダメかと言うと、「すぐに稼げる」が口癖の平たく言えばギャンブラーで、大きく賭けては外して年中金がない、ダメならすぐ切り捨てる、挙げ句子供にまでたかろうとするという具合。そんなチャーリーのことを、息子のマックスは母と自分を「切り捨てた」として恨んでいます。この二人の親子関係を巡る話なわけですが、これが単なるヒューマンドラマでは終わらない。その最大の要素がロボット・ボクシング。2メートル前後の人型ロボットをリモコン操作で戦わせるという血沸き肉踊る競技で、これは『鉄人28号』『プラレス三四郎』果ては『パシフィック・リム』まで、戦うロボットが好きな人にはたまらない要素。

このロボットのバリエーションと、それを操作するというオモチャで遊ぶときの感覚、さらにはロボットでありながらなかなか人間っぽい格闘アクション、ロボットならではのオプション攻撃まで付けているのが面白い。格闘技映画としての熱さがあるし、ほんのりと友情物語のテイストまで感じさせるし、父と子の間にロボットというワンクッションを置くことがストーリーテリングにも上手く作用しています。ロボの造形がまた良くて、デザインもさることながら、1機ずつ手作りしました感が凄い。

チャーリー役はヒュー・ジャックマンなので、ワイルドではあってもクズって感じはちょっと薄めなんですが、それでも色々とダメな親父という役に意外とマッチ。マックス役のダコタ・ゴヨ君がまた美少年なんだけど、可愛らしさとクソ生意気さの中間を上手く表現してます。11歳という設定が、現実的な面もありつつ無邪気さもあるという絶妙なお年頃ですね。チャーリーのパートナーであるベイリー役は『ホビット』『アントマン』のエヴァンジェリン・リリーで、ホットパンツ姿がたまりません。あと『シビル・ウォー』ファルコンことアンソニー・マッキーも出てて、なかなかおいしいです。

話は意外とストレートだったりしますが、それは安心感さえ感じる王道の物語とも言えるでしょう。ロボバトルに熱く興奮し、親子のドラマに泣けます。ロボ好きはもちろん、ヒュー・ジャックマンのクズさや可愛い少年が好きな人にも楽しめます。

↓以下、ネタバレ含む。








ロボットは人間の代替として戦わせながらも、手足や首が引きちぎられたりしてもロボットだから問題なし。たとえ血のようにオイルが流れようが、基本的にモノ扱いなんですね。序盤でチャーリーが色目使ってる間に牛に破壊されるアンブッシュも、クールを通り越してイタい日本アレンジが加わった極悪男子ノイジー・ボーイなども、破壊されたらただのスクラップ(そのあたりの「人の持つ残虐性」みたいな言及は割愛)。その中でアトムだけが扱いが異なります。これは所有者がマックスであり、アトムを友だちのように扱うからというのが大きい。加えてアトムが言葉が分かるような素振りを見せたり、バックミラー越しにチャーリーを見つめたりする、まるでアトムに意思があるかのようなカットを入れることで補強されます。

そのシャドウ機能が示すように、アトムはあくまでマックスの心を写す影です。一人の寂しさを紛らわせるための友人という側面はあるものの、動きを真似させて自分を抱き抱えさせたり、自分の知らない戦う父の姿をそこに写し取らせようとする。父よりも上手くできると強がりながら、いつの間にか父と同じものに熱中しているという無意識の高揚もあるのでしょう。またアトムの力を認めるようになるチャーリーにとっても、最初は金のためだったにせよ、いつしか息子との繋がりの象徴となっていく。そしてラストでチャーリー自身の動きによってゼウスと戦うアトム。チャーリーにとっては自身の投影であり、再びリングに上がるための媒体です。だからモノであるという描き方は損なわず存在感は維持するという、意外と筋の通った描写を貫いてるのが上手いです。徐々に打ち解けていく親子の姿もマシンを間に挟むことであざとさが軽減されてるように思います。

とは言えやはり「僕だけのロボット」感はたまらないものがあるし、マックスとアトムが踊るダンスシーンは微笑ましいし、デザインも良いんだよねえアトム。あと打たれ強いというのがイイ。ゼウスもラスボス感や決めポーズがカッチョよくて、ゼウスを見て興奮するマックスの気持ちもよく分かる。タク・マシドのクールな敵参謀みたいな雰囲気もイカします。難を言えばどこまでの攻撃や武装が許されるのか、頭や腕が複数あったりして機体の基準はどうなってるのかなど、ロボット・ボクシングの詳細がよく分からないというのはあります。あと話し言葉を解析してから駆動系に命令を伝える音声認識よりは、コントローラーの方が反応速度は速いと思うんですけどね。まあそこは画的に一体感が出るということで目をつぶりましょう。

マックスがゼウスとの試合前に「勝てないよね」と言ってしまうように、もう試合に勝つことが目的ではなく、チャーリーとマックス二人の旅路の帰結としての試合なわけですが、そこにチャーリー自身の戦いを最後に重ねて見せるというのが燃えます。ベイリーやマックスの叔母夫婦も見守るなか、ダメ親父が息子の思いに応えるべく自らの生き様を賭けて戦う姿は、都合のよさをねじ伏せる熱さ。底辺から這い上がるというドラマとしてはちょい薄口ですが、それでもこれだけの要素をブチ込んで、『ロッキー』を彷彿とさせるラストまでやられたら文句なしです。

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