2016
07.13

小さな体に大きな力(と態度)!『スモール・ソルジャーズ』感想。

Small_Soldiers
Small Soldiers / 1998年 アメリカ / 監督:ジョー・ダンテ

あらすじ
軍用チップって凄いな。



※レビュー・リクエストいただきました。ありがとうございます!

オモチャ屋の息子アランが店番のときに届けられた新登場のオモチャ「スモール・ソルジャーズ」。しかしそれは最新の軍用チップを組み込んだせいで自律思考を持ってしまった危険なフィギュアだった!というパニック・アクション。

オモチャが動く、と言えば『トイ・ストーリー』を思い出しますが、あちらがオモチャと子供の絆を描くのに対し、こちらはオモチャvs人間という別のアゲ方をしてきます。軍事企業グロボテックが玩具会社を買収して作り上げたスーパー軍人フィギュアシリーズ「コマンドー・エリート」と彼らの倒すべき怪物たち「ゴーゴナイト」。オモチャ屋の息子アランは店主の父を見返すために配送業者のおっちゃんに頼んでこれを発売前に入手して店に並べたものの、このオモチャが「凄い高性能のチップを使ったら意思を持って動き出しちゃった」という開発者もビックリの機能を持っており、しかも敵を倒すという設定には忠実だったため、街は大混乱に。アランは憧れのクラスメイト、クリスティと共に最凶のオモチャ軍団と戦うはめになります。

所詮はオモチャだろ?と思うんですが、まあそうなんですよ。人間様の軍隊あたりが本気出したら当然倒せます。しかし事件が起こるのはごく普通の人々が暮らす平和なベッドタウンであり、対処するのは少年少女であり、自我を持ったフィギュアたちの予想もしない侵攻に住民たちがあたふたするうちに事態はとんでもない方向に。何と言ってもコマンドー・エリートは戦闘のエキスパートなのです!しかも人形たちの声を担当するのは、リーダーのチップ・ハザードがトミー・リー・ジョーンズなのを始め、アーネスト・ボーグナインやブルース・ダーンなど『特攻大作戦』のメンバーとのことでヤバさ倍増(女性の声はクリスティーナ・リッチだ!)。

主人公アランが憧れの同級生ヒロインであるクリスティに対してちょっと子供っぽすぎるなあと思ったんですが、年齢的には同じくらいという設定のようです。クリスティ役のキルスティン・ダンスト当時15歳!なんだこの色気は!ちなみに社長役のデニス・リアリーは『アメイジング・スパイダーマン』でグウェン父役であり、『スパイダーマン』MJ役のキルスティンとはスパイディ繋がりだったりします。あとケビン・ダンが『トランスフォーマー』同様に印象深いアラン父役ですね。

監督ジョー・ダンテによる安心感、特殊効果の名手スタン・ウィンストンによる安定感、ユーモアも満載。またQueenの「Another One Bites The Dust」、エドウィン・スター「War」、スパイス・ガールズ「Wannabe」などの名曲の使われ方も愉快。マッチョ軍団コマンドー・エリートとキモ可愛いゴーゴナイトの造形の良さもあり、「そんなバカな!」の連続ながらハマります。

↓以下、ネタバレ含む。








人形の造形の何と言うか、ダサカッコ良さね。コマンドー・エリートはG.I.ジョーみたいなイメージなんでしょうか。本当にCMのように箱を破って出てくるのが笑えますが、それを注文する社長もどうかしてます。チップが特別なだけであそこまでなるか、というのはありますが、そこは笑いどころでしょう。女人形みつけたあとベッドを映すのとか、主役チームとは思えないゲスさ。自転車に取りついてのチェイスとか、連結する乗り物とかのオモチャっぽさを活かしたアクションにはアガります。フルCGではなくアニマトロニクスも駆使してるのが却って人形っぽさが出ててイイ。結構派手に手足が吹っ飛びますが、オモチャなので多少残虐でも大丈夫!でも女性軍団の崩れた顔の不気味さは軽くトラウマになりそう。

コマンドー・エリートを国粋主義に基づいた軍事侵攻の象徴と見るのは容易いでしょう。アメリカ国旗を背に演説するチップ、目的のためなら手段を選ばぬやり口、見た目だけで悪と決めつける差別と、アメリカのマッチョイズムをマッチョな人形に代替させて皮肉って見せます。対するゴーゴナイトは隠れているだけで、攻め来るコマンドーたちに対して何か対抗策を打ち出すわけでもなくひたすら「おうち帰りたい(意訳)」と嘆くばかり。最初から負けることをプログラムされているからなわけですが、そんなゴーゴナイトが立ち上がることができるのはその知能ゆえでしょう。「人工知能を超えた知能を持つ」とコマンドーが自負するならゴーゴナイトもまた同様に知能を有しているわけで、設定を超えて「自分たちが滅ぼされることの不条理さ」に気付くわけです。アランが「風」を説明するのに使った台詞「見えなくてもそれがないとは限らない」ということの「認識」が、自分たちの生き残る未来だってないとは限らないという思考に結びつく。その認識がないコマンドーとの差が勝敗を分けるんですね。最後「故郷などない」と言うアランに対して、アーチャーがその「認識の台詞」を言うのは、不意打ちだったのもあって予想外に感動しちゃいましたよ。

それにしてもコマンドーはヤバいです。終盤の大軍団を率いてくるところはさすがにビビります。そのわりには砲弾をテニスラケットで打ち返す母ちゃんという笑いどころがまたイイ。大仰なことをご近所レベルで見せるというのは同じジョー・ダンテの監督作『グレムリン』と似ており(そういやパスワードが「ギズモ」で笑った)、わりとシャレにならないところも同様。もしこれが現代だったら人形たちには間違いなくネットワーク機能が付いているだろうし、もしこの脅威が世界に拡がったらそれこそ『ターミネーター』のスカイネットのようになるかもしれないわけですよ。ラストのスパッと金で解決、後腐れなしというのもユーモアのようでいて、すかさず軍事転用というのが危うい。そう考えると本作は「今そこにある危機」と言えなくもないわけです。

……ちょっと言い過ぎたな。まあそんなこと考えずとも、キルスティン・ダンストのクリスティがノリノリでコマンドーたちと戦う様を見ているだけで楽しいし、アラン君も(いまいち魅力には欠けるものの)頑張ってたし、構えずに観られるファミリーアドベンチャーとして魅力十分。とりあえず、製品開発でのテスト工程って大事だよね。

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