2016
06.30

伝説の呪いがもたらす最凶!『貞子vs伽椰子』感想。

sadako_vs_kayako
206年 日本 / 監督:白石晃士

あらすじ
俊雄もいるよ♪



映像を見ると二日後に死ぬという「呪いのビデオ」。足を踏み入れた者は死ぬという「呪いの家」。それらは都市伝説のはずだった。しかし女子大生の有里は偶然不気味なビデオテープを入手し、女子高生の鈴香は引っ越し先の向かいの家から不吉さを感じる……。『リング』の貞子と『呪怨』の伽椰子という2大ホラーキャラが共演を果たしたホラー・ムービー。監督は『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズの白石晃士。

ビデオ観たら死なす!でおなじみ『リング』の貞子と、家に入ったら死なす!でおなじみ『呪怨』の伽椰子、Jホラーを代表する2大巨頭がまさかのクロスオーバー!元々はエイプリル・フールネタとして作られたウソ企画ですが、これが現実のものとなったわけです。まあ企画からしてイロモノなんでね、祭り気分で気軽に観たんですが、なんだこれ最高か!最初こそニヤニヤしながら観てたものの、とある人物の登場からトーンが一変、「化物には化物をぶつける」という、理屈は分かるが無茶な発想を見事にやってのけるこの外連味。思いきって突き抜けた感じがイイし、最近のJホラーの中でも断トツで怖かったです。もはや過去の遺物であるビデオテープの絡め方など、話運びも実に上手いですよ。

ヒロイン友里を演じるのは山本美月。ちょっと凛々しさが勝ってて怖がる演技がいまひとつな気もしますが、役柄を思えば説得力のあるキャスティング。ホラーらしくシャワーシーンもあるのがナイスです。もう一人のヒロイン鈴花を演じる玉城ティナは首とかスゴい細っこくて儚い感じが良いですねえ。「怖い」と言って震えるシーンなど実に繊細。佐津川愛美は『ヒメアノ~ル』でも怖い目に逢ってましたが、こんどは別次元の恐怖に晒されます。3人とも目が大きいので恐怖シーンによく映えるんですよね。安藤政信の経蔵と相棒の玉緒はコミックのようなキャラですが、そもそもコミカルな対決を繋ぐ役割なのでさほど違和感もなく受け入れちゃいます。

『リング』1作目が1998年、『呪怨』劇場1作目が2003年というのもあって、貞子も伽椰子も既に都市伝説と化しているという設定(『呪怨』シリーズは2015年まで続いてますが)。そのため山村貞子、佐伯伽椰子というフルネームも含めて彼女らのバックボーンは思い切って取っ払い、呪いの恐怖という点に絞ったのは英断でしょう。それでいて両者がどういう性質なのかはオリジナルを観てなくてもちゃんと分かる作りになってるし、ホラーとしての怖さも残しつつしっかり「vs」をも見せてくれる贅沢さには感激。ゴキゲンなバトル・ホラーです。いやー凄い、面白い!主題歌の聖飢魔II『呪いのシャ・ナ・ナ・ナ』も超カッチョイイぞ。

↓以下、ネタバレ含む。








シナリオの取捨選択が上手いんですよ。切り捨てるところは思い切って捨て、ホラーとして大事なところはしっかり活かす。オリジナルとかなり違う点もありますが、そこはこだわらずのびのびと作ってる感がかえって潔いです。貞子のビデオの内容は全然違う上に肝心の井戸のシーンもないですが、井戸はクライマックスで効果的に使うためあえて外したのでょう。見てから死ぬのが一週間後ではなく二日後にしたのもテンポを上げるための上手い改変。伽椰子の家に至ってはオリジナルとは間取りも外観も面した通りの様子も全然違いますが、あの真っ直ぐ伸びた廊下や階段の奥行きがかえって怖い。俊雄はちょっと成長してますが、消える少年たちと同年代にしてるのはバランスいいかも。既に都市伝説だと明言してるからさほど気にならないです。

「vs」に至るまでの過程もかなりイイと思うんですよ。冒頭からして秀逸で、ガラス戸を開けたらいないとかいきなりビビるシーンを始め、さっそく貞子を登場させるというオッケーすぎる掴み。あと最初に廊下を横切るのがどう見ても貞子じゃないので俊雄じゃないかと思うんですが、あそこは伽椰子の家じゃないので顔見せサービスってことですかね(顔は見せてないけど)。そして友里、鈴花の導入部を交互に描きながら、確実に進む呪いを見せていきます。呪いのビデオで実際に死ぬというのをジャンク屋のバイト娘で見せ、お払いの場で邪魔するヤツは皆殺しという貞子のパワーを見せる。家に囚われる恐怖を鈴花の夢で見せ、家に入ったら確実に引き込まれることを4人の小学生で実証する。友里と鈴花をそれぞれ犠牲になる人ともちゃんと絡ませることで連続性をも保ちます。

そして顔面力がハンパない法柳さんをあっけなく退場させることによる絶望感、からの経蔵と珠緒の登場。「俺の考えてることが分かるか?」そして「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」という激アツ展開で二つの世界を繋げて、一気に対決ムードを醸し出す。4人が並んで歩くカットなどは強敵に立ち向かうチーム感満載でアガります。監督によれば経蔵と玉緒はブラックジャックとピノ子の関係をイメージしたんだそうで、なるほどなー。経蔵のシュッシュッ、ヒュッという見栄の切り方がいかにもだけどカッコいいです。珠緒はもう少し可愛げがあってもいいかなという気もしますがプロっぽさを優先したんですかね。甲本雅裕の演じる森繁先生を「この人は犬死にだね」って言うのが酷すぎて笑います。それにしても森繁がどうやって呪いを解こうとしてたのか気になるわー。彼の変人っぷりは実に良いですね。友里にビデオを見るなという理由が「生き証人がいなくなる」ですからね。

最初は懐かしさやお約束を楽しむ感じでしたが、徐々に恐怖シーンにも圧倒されていきます。満を持して登場する伽椰子が這ってくる姿のラスボス感!佐津川愛美の夏美が自殺しようとするのを見下ろす貞子の眼力!二者が相対する場面などは凄すぎて『フレディvsジェイソン』や『エイリアンvsプレデター』にもひけをとらない、いやむしろ越えてると言っていいでしょう。散々ネタにされて見慣れてるはずが思った以上に怖くてのけぞる、テレビから出てくる貞子!階段の裏側の視点というのがまた絶妙な、上からヌルリと顔を出す伽椰子!そんなJホラーの二大巨頭が両サイドから迫ってくるのはめちゃくちゃ怖いです。そして勃発する、文字通り人知を超えた戦い!貞子を叩き潰す伽椰子!伽椰子を爆散させる貞子!伽椰子の使い魔俊雄をテレビに引きずり込む貞子!貞子の大事なビデオテープをバッキバキにする伽椰子!貞子のラブデラックス!伽椰子のミラクルボイス!

最後に呪いを打ち消すことはあってもどちらかが勝つことはなかろうとは思ってましたが、いやまさか物理的な激突に加え、あんなことになるとは。バケモンにバケモンをぶつけた結果、さらなるバケモンが生まれるという絶望感。そして一気にエンドロールへ流れ込むキレ味。デーモン閣下の歌声が鳴り響く中にもしっかり俊雄や伽椰子の声を聴かせ、その曲を断ち切って流れる新たな呪いのビデオ!もう最高です。

引っかかるところがなくもないですよ?田中美里の演じる鈴花の母親が足首ちょん切られるのはどうやったのかが謎だったり、経蔵が真っ二つになった(よね?)のが分かりにくかったり、友里が井戸の中でどうなっちゃったのかも非常に気になります(融合したのか?)。とは言えあまり整合性を求めるジャンルでもないし(むしろ整合性はある方です)、何より期待を上回るスピード感と想像を超える完成度で『バットマンvsスーパーマン』に劣らぬ世紀の対決を見せてくれたことが嬉しいです。ビデオがDVDとなりネットに流され、呪いを止める者はもはやいないという突き放し方も素晴らしい。ホラー映画の面白さを存分に味わわせてくれる見事な出来です。

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