2016
05.23

受け継がれる変態。『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』感想。

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2016年 日本 / 監督:福田雄一

あらすじ
世界からパンティが消える……(マジで)



パンティを被ったヒーロー、変態仮面として悪と戦う色丞狂介。しかしガールフレンドの愛子はそんな狂介の変態ぶりをよく思わず、二人は徐々にすれ違う。そんなおり世界中からパンティが消えるという事件が発生し、変態仮面の前に最強の敵が出現する……。あんど慶周のコミック『究極!!変態仮面』の実写映画がまさかの続編でクロスアウッ(脱衣)!

前作の感想はこちら。
大マジメにバカをやる。『HK 変態仮面』感想。

前作の感想で「さすがに続編はないか?」って言ったんですが、いやーもうね、やるとは思わなかったですね。パンティを顔に被ると超絶パワーを発揮する(どこか後ろめたいという意味での)ダーク・ヒーロー、変態仮面。日本の誇るヒーロー(誇っていいのかは自信がない)が主要なスタッフ・キャストも続投で再登場。刑事の父(ドM)とSM女王の母(真性)の間に生まれた色丞狂介は、持ち前の正義漢と変態性で大学生になってからも変態仮面として悪を凝らしめる日々。しかしヒーロー活動のせいで日常生活は支障をきたし、愛しの愛子ちゃんにも変態はイヤと言われてしまいます(まあそうだろうな)。そしてもう変態仮面にはなるまいと決意したものの、新たな敵の出現に正義と変態の狭間で揺れることに。ああ、涙が止まらないよ……笑いすぎて。もう最高にバカです。そして最大限のバカを大真面目にやるからこそ面白い。

真のヒーローになるまでを描いた前作に続き、今作は何のために戦うのかというところまで踏み込むという、ヒーロー映画の続編としても正しいあり方。体の露出度に加え性癖まで丸分かりという、自分をさらけ出しすぎたヒーロー変態仮面を演じるのは鈴木亮平。仕上げた肉体と怒濤のアクションの素晴らしさはもちろん、喋り方や表情でも絶品のコメディ演技を見せて最高です。ヒロイン愛子ちゃんの清水富美加も相変わらずキュートですが、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』でも色っぽかった水崎綾女の演じるセクシー大学教授・綾田が非常にエクスタシィ!で良いです。また狂介の同級生、真琴正を演じる柳楽優弥が暗い目をしたいじめられっ子から予想外の弾けた演技まで見せてくれて笑います。これでムロツヨシのあの笑えない演技さえなければな……。色んな人がチョイ役で出てるのも笑いますが、特に某ミュージシャンにはブッ飛びました。あんた何やってんだよ。

色々と映画のパロディもあるんですが、特に某続編映画のなぞり方には爆笑。パンティという呼称の徹底にはこだわりを感じるし、宙を舞う大量のパンティという風景は荘厳ですらあるし、「全員ノーパン」という言葉の破壊力は尋常じゃあない。大学生になってもやってることは中学生なみですが、変態とはカッコいいものだ、と勘違いしかねない面白さ。バカです。でも最高。ガードルじゃダメなんだ(魂の叫び)!

↓以下、ネタバレ含む。








鈴木亮平は時々声が裏返る台詞の言い方とか、息の荒さのしつこさとか、マスクを取るとちょっと背中丸めるとか、細かいところが上手いんですよ。若干のオーバーアクトが作風に合ってて良いバランス。ロウソク持った母に「もうーー」とか言いながらシャツを脱いで応えようとする孝行息子だったり、「好きではない、邪な思いはあったが」と言っちゃったりと、キャラが正直者なんで好感度高いです。変態だけど。払ってのみぞおち!が意外とキマるのも笑います。でも「また愛子ちゃんと付き合って……(ムフフ)」な顔になってたのはけしからん。清水富美加の愛子ちゃんは前作よりちょっと目立たないですが、終盤のパンティを一度履いて脱ぐときの絶妙の間がさすがのコメディエンヌっぷり。

冒頭のピザ屋のくだりでまさかの新井浩文が笑かしてくれるところから面白いです。母役の片瀬那奈は『アイアムアヒーロー』に続きブッ飛んでますが、時々久本雅美に見えるのがちょっと悲しかったです。興味のない僕でさえ顔を知ってるユーチューバーが出てきたり、ワイドショーの司会がアレ?と思ったらTM Networkの木根尚登だったりとチョイ役も面白い。ただ前作もそうだったけど、敵役のコミカルな芝居が行きすぎて笑えないんですよ。ミスターバキュームの皆川猿時はまだ耐えられたけど、前作に続き登場の大金玉男のムロツヨシだけはどうしてもイラッとしてしまう。なんであんな演出にしちゃったんだろう(ムロツヨシが嫌いなわけではない)。直球な誘いと色っぽさが尋常ではない水崎綾女がいたことが救いです。

しょっぱなのマーベルロゴ演出など、前作以上にアメコミヒーロー映画、と言うか『スパイダーマン』のパロディが激しいです。糸の代わりにロープで飛び回るだけでなく、壁に潰されそうになる人々をロープを張って助けたり、その後助けた人々に囲まれたりと、続編は思いきりサム・ライミ版『スパイダーマン2』へのオマージュになってますね。柳楽優弥のダイナソンがなぜあんな形状なのかと思ったらドック・オクだったし、ヒーロー活動を取るか彼女の愛を取るかというのもまんまです。スパイダーアクション見せるためだけに舞台がNYに移るのはやり過ぎな気もしますが、笑っちゃったのでまあいいか。あと修行シーンが『ベストキッド』だったり、大金玉男の首だけバージョンは『ヒルコ 妖怪ハンター』と言うか『遊星からの物体X』みたいでそこはちょっと面白かったです。

正体を隠して活動するヒーローというのは孤独なものです。命を救われた人々であっても、その力に恐怖を感じたり破壊行為に腹を立てたり、あるいはグロいと言って離れていくのです(レアケース)。そんなとき拠り所となるのは自身の思う正義。正義の変態である変態仮面は、己の信念が父から、さらには祖父からと続く血統であることを知って再び立ち上がるのです!まあ正義ではなくて変態の方の血統ですが……まさか安田顕が最強の敵から身内へ変わるとはな……何だあのブラジャー仮面は。親子三代に引き継がれる「これはこれで」には大河ドラマのような壮大さを感じます。すいません言い過ぎました。かくして祖父から受け継いだ天狗面による鬼モードはマシンガンの弾さえ弾き、新品のパンティでも愛子ちゃんの匂いを引き寄せて力を出せるほどにパワーアップ。ここまで振りきってくれたら、ラストがまた巨大メカなのもセクシー教授がドロンボーのように逃げていくのも許しましょう。さすがにもう続編はないような気もしますが……しかしそうとも言い切れないか……いやもうやってくれ三部作。付き合うよ!

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