2016
05.13

火星の黒き悪夢!『テラフォーマーズ』感想。

terraformers
2016年 日本 / 監督:三池崇史

あらすじ
駆逐してやる!(進撃の巨G)



2599年、人類は新たな居住地開拓のために「火星地球化(テラフォーミング)計画」を実行、火星の気温を上げるためにコケと共に放ったゴキブリを駆除するための特殊部隊を編成し火星に送り込む。しかしそこにいたのは異常進化を遂げた化物だった。貴家悠、橘賢一のコミックを監督三池崇史で実写化したSFアクション。

コミックの実写化、しかもSFということで懸念も多かった本作。簡単に言うと、火星で繁殖したGを退治しようと思ったら逆に人間の方が退治されちゃって大変、という話です。人型に進化したGは「テラフォーマー」と呼ばれ、これがえらい強い。しかし人間様も黙ってやられたりはしません。Gが人型になるなら人間も虫と合体すればいいんじゃね?という画期的かつ短絡的な思考により、あらゆる昆虫のDNAを組み込む「テラフォーミング手術」を施した超人兵士たちを送り込みます。かくして起こる虫人間vs人型虫の全面対決、首や手足が吹っ飛ぶゴア描写も織り混ぜつつ、誰が生き残るのか、無事に地球に帰れるのか、というサバイバル・アクションが展開。

原作の1巻を元にした映画化ですが、それだけで一旦の完結を見せる1巻のみを使ってそれ以上は欲張らなかったのは妥当なところ。この1巻の良さは「出オチ感」と「死に様」だと思ってるんですが、その点は上手くいってますね。何より虫化するメンバーたちの醸し出す特撮変身ヒーロー感は楽しい。そして虫の解説(ナレーションは池田秀一!)のいちいち仰々しいウンチクによる可笑しさや、ブラックな死にっぷりの愉快さが良いです。バグズ2号のメンバーも多彩な面子。伊藤英明なんて『WOOD JOB!』観れば「生身でいけんじゃね?」と思わなくもないですが。『極道大戦争』でも三池作品に参加した渋川清彦のヤクザさんなんて最高でしたね。

巷で言われてるほど悪くないし、多少の広い心を持てばわりと楽しめると思うんですよ。脚本は『グレンラガン』の中島かずきだから熱さもあるし。ただ、ちょいちょい入るシュールな笑いは好みが分かれますかね?(個人的にはウザかった)もっとコメディかグロかに振った方がよかったんじゃないかなーちょっと半端なんだよなあ。いや両方とももっと振り切ればよかったのかな?とりあえず「小栗旬の前髪をスパッと切りたい」とずーっと思いながら観てました。

↓以下、ネタバレ含む。








『ブレードランナー』を意識した冒頭の街の様子もまああれはあれでいいんじゃないですかね、愉快で。ヒサヤ大黒堂の「ぢ」の看板がやたらあったので、未来では痔が国民病といえるくらい流行っているのでしょう。あとアース製薬はかなり株価が高いと思われます。良くも悪くも原作にはわりと忠実だと言えるでしょう。原作では国際色豊かだったメンバーは日本人キャストで統一されましたが特に気にならないし、国際色という意味では『極道大戦争』でのヤヤン・ルヒアン並に無駄使いのケイン・コスギや、ビッチすぎて逆に清々しい菊地凛子や、エキセントリックすぎる上司の傍らで苦労しそうな福島リラなどがキャスティングされてますからね。オフビート通り越してスベってるとしか言いようのない小栗旬はオリジナルすぎますが。

有名キャストがこともなげに死んでいくというのはもう見所でしょう。武井咲なんてGに出会って即死亡というえげつなさ、なぜか終盤に死体で活躍するという荒技を見せます。篠田麻里子(ビッチ)に太田莉菜(ビッチ)と女性陣があっけなくやられていくなか、ツインテールでピンクのカマを振り回す小池栄子のカマキリは良かったです。加藤雅也の艦長が一人で頑張る姿はカッコいいし、山田孝之のイチローは意外とイメージ合ってたし。滝藤賢一は言動のウザさと能力発動のひょっとこ顔のウザさ(イヤ非常に役立つんだけど)が絶妙にマッチ。ただ、このメンバーたちが仲がよいとか結束してるというのがないので、この手の話にありそうな「仲間を守って死んでいく」みたいな熱さはないんですよねえ。唯一それに当たるのが山Pバッタで、仮面ライダーの原型のようにまでなっての最期は、見た目のグロさと相反して泣かせもの。

昆虫の能力が人間大になるととてつもない威力である、という煽りが良くてですね、たとえテンポは悪くなろうがこれによってアガる。「説明しよう!」ってやつですよ。素直に「へえ、そうなんだ」となるのもあるので、見方によってはネイチャー・ドキュメンタリーの趣がある、と言えなくもないですね。ちょっと言い過ぎましたね。ヤクザコンビが変身することなく退場、おまけに火星で何の役にたつのか、と言われるのは可哀想すぎて泣けてきます。

展開としては危機また危機の連続で絶望感も凄い、はずなんですが、そういうウェットな方には行きそうで行かないですね。あまりに全編死にまくりだから、というのもありますが、Gが波のように襲ってくる(しかも2回)という意味のわからないシーンで笑ってしまう、みたいな真面目そうでハズしてくるのが大きいですかね。まあそれが味と言えば味。後半で同じような景色と戦いが延々続くのは眠気を誘われるし、原作よりスケールダウンしてる感はどうしても否めないし、小栗旬の前髪はスパッと切りたいですが、色んな意味で愉快でしたよ。負け犬たちが潔く散っていく姿に、ヤクザ映画に通じる刹那的な美学を感じましょう。

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1069-f0695746
トラックバック
back-to-top