2016
04.23

皆で見る夢の続き。『映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』感想。

kure_shin_yumemi
2016年 日本 / 監督:高橋渉

あらすじ
レッツ睡眠!



しんちゃんたちの通う幼稚園に転園してきた少女サキちゃん。時を同じくして春日部の人々が寝てる間の夢を巨大な魚に食われるという事態が。夢を取り戻すためカスカベ防衛隊が立ち上がる!『クレヨンしんちゃん』劇場映画シリーズ第24作目。監督は『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』の高橋渉、共同脚本に劇団ひとり。

クレしん映画、今回のテーマは「夢」です。夢の世界や精神世界の映像化としては『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』『パプリカ』など既に名作が数多くありますが、そこはほんわかした感じと薄暗い感じというシンプルな二極化をした上で、クレしんらしさを出しつつというところでしょうか。ただし悪夢の怖さはトラウマレベルです。ちょっとデル・トロの『MAMA』を思い出したほど。もちろん笑いがメインであり、くどいネタにはちょっと引くもののテンポのいいギャグにはかなり笑いました。ただし子供向けとしてはギリギリアウトの連続ですけどね!

新たに幼稚園にやってきたサキちゃんは誰とも仲良くしようとはしないのですが、そこには誰にも言えない秘密があるのです。そんなサキちゃんを救うため立ち上がるカスカベ防衛隊!前作『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』では直接の活躍がなかった風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんも今作では行動、ビジュアル、ギャグとあらゆる面でそれぞれの個性が上手く活かされています。もちろんしんのすけ以外の野原一家も必要以上に頑張ります。とーちゃんかーちゃんのなりふり構わぬアクションには感動を通り越して「お、おう」ってなりますが(ホメてます)、これがサキちゃんの父母との対比や共通項としてクロスしていくんですね。

ゲスト声優陣は安田顕も吉瀬美智子も良い感じです。それ以外に相変わらず本人役が登場するのはどうなんだとは思いますが、まあ一応子供向けだからしょうがないか。しかしとにかく明るい安村はともかく、あのホストとかあのおっさんとかセレクトがおかしいと思うんだが……。それはさておき、一人の少女の話であり、母の話であり、ひまわりが無双であったりと女性陣が大活躍でした。心の傷を持つ友達を救うべく、しんのすけは尻を出す!泣けます。

↓以下、ネタバレ含む。








脚本で劇団ひとりが参加してるせいか、そこはかとなく下ネタも。先生が園児の前で夫婦の営みを「昨夜だって…」とか言いかけたり(アウト)、みさえの夢がカリスマホスト城咲仁に入れあげるだったり(アウト)、子供の心を取り戻すため父ひろしが剃毛してたり(ギリセーフ)、えっまさか母みさえも?などと思ったり(その連想がアウト)、いいのか?まあいいか。それにしてもバクかと思ったら大和田獏、のところはもっとさらっと終わってよかったのでは……チビッ子たちは分かるんでしょうか。とにかく明るい安村は意外と面白かったです。あの音楽も使っての「ヘイ!」の入れ方が絶妙。でも履いてないので安心できません。履けよ。

大人は夢玉が小さい、というのはちょっと悲しいですね。夢に見るのが偉そうなクライアントをこらしめるスーパーCEOマンとか、現実のストレス反映なのが泣けます。それに比べて子供たちの見る夢はそのまま将来の夢だったりします。風間くんの思う政治家が選挙のイメージだったり、ネネちゃんの描くアイドルがライブで熱狂するファンだったりと子供らしくはあるんですが、その夢をそのまま反撃の手段に使うのは面白いです。漫画家となったマサオくんがペンをライトセーバーに変えるのは燃える展開。巨大ひまわりの無敵さも最高。しかしいくら巨大とはいえ、レディの尻に何度も突っ込む暴走族というのは……(アウト)。あと異質だったのは、夢空間を共有しているということ。つまり自分の願望が他人に丸見えなんですよ。そんな状態では大人は萎縮して夢エネルギーも小さくなるかもしれません。

楽しい夢を見せてその夢エネルギーを吸い取り、娘の悪夢を中和することに使う、というのがサキ父・夢彦の目的なわけですが、そのために他人を陥れる理由を「お前のためだ」とする正当化がキツいんですよ。親の言うことを正しいと思うしかない小さな子供、しかも自分のためと言われては逆らいようがない。愛情ゆえのはずが歪んでしまった夢彦の心、それに対抗するのが野原夫妻のピュアハートなわけです。そこには童心に帰るという以上に親の子を思う気持ちが溢れてるんですね。みさえの魔法少女なりきりは正視に耐えませんが(ホメてます)それが母の愛の裏返しとなっており、そこに娘を守ったサキ母の姿を重ねてくる、というのが上手いです。

サキちゃんはユメミーワールドに囚われた姫のような役柄なので、しんのすけは必然それを救う勇者のような役回りになっています。現実世界でもサキを襲ういじめっ子の拳を尻で受け止めたり(しかも劇画チック)勇姿を見せるし、夢の世界では真っ先にサキを見つけて駆け寄っていく。しんのすけは自分の心情をほとんど言葉に出さないためどこか超越した存在になってると思うんですが、それが上手く活かされてます。あととても良かったのが秘密基地ですね。ほどよい広さに絶妙なモノが配置された空間のワクワク感。ラストでサキちゃん親子は春日部を離れますが、防衛隊の面々とファイヤーしたあの秘密基地の思い出は忘れないだろう、と思わせてくれます。

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