2016
04.20

もてあませ、超銀河パワー!『ミラクル・ニール!』感想。

absolutely_anything
Absolutely Anything / 2015年 イギリス / 監督:テリー・ジョーンズ

あらすじ
ビスケットおくれよ!



下等な惑星として地球を滅ぼそうとするエイリアンたちが地球に与えたチャンス、それは無作為に選んだ人物に全知全能の力を与えて知性を観察すること。そしてその力を与えられたのはイギリスの適当男ニールだった!大丈夫か地球!サイモン・ペッグ主演のブリティッシュ・コメディ。

監督・脚本がモンティ・パイソンのテリー・ジョーンズですね。僕はモンティ・パイソンは馴染みがないんですけど、何と言うか、良くも悪くもテレビのホームコメディを見てるようでした(ブラックや下ネタもあるけど)。冴えない教師のニールがある日突然万能の力を手に入れたら、というお話で、この何でもできる「超銀河パワー」(名前がすげーカッコいい)は本当に何でもできるんですよ。人の心を操る、ものを作り出す、時間を巻き戻す、死者を甦らせることまで、手をヒラリとひと振りするだけで実現。この力を持った者がどういう行動をするかで地球の命運が決まるんですが、そんなことニールは知りもしないので、本能と場の流れの赴くままに力を行使します。それで何をするか、というのが笑いどころ。

ニール役は『ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション』など最近では大作でもおなじみのサイモン・ペッグ。年齢を感じさせない適当な感じに安心感です。ヒロインのキャサリンを演じるのが『アンダーワールド』のケイト・ベッキンセールというのが意外と言えば意外。はつらつとコメディエンヌを演じてて好感持てますよ。あと『21ジャンプストリート』などでも印象深かったロブ・リグルがグラント大佐として気持ち悪さをいかんなく発揮してたりします。

全体的にはひたすらゆるーいコメディで、笑えたところもあるものの「あれは誰が判断して叶えてるのか」が妙に気になってしまいました。なんかコンピュータみたいなのがあるんだっけ?正直サイモン・ペッグのコメディならまた『宇宙人ポール』みたいにニック・フロストとのコンビが観たいなあ、とは思いました。ただ、犬のデニスの声役を誰がやってるか知らずに観たので驚きましたよ。これが本当の遺作ってことになるんですかね。本編は笑いしかないのにエンドロール中の映像だけは泣けます。

↓以下、ネタバレ含む。








万能の力があったらどう使うか、これは難しいですよ。物理法則どころか万物の真理まで操れるとなるとなおさら。時間を戻すこともできるし死人を甦らせることもできる。世界を一から作り直すことだってできるでしょう。この力を得たのが野心溢れる者だったら、或いは正義感に燃える者だったとしたら、全く違う映画になるところです。だから設定としてはかなり危うい。例えば超パワーでヒーローになる、というのもできますが、そもそも悪人を改心させることもできるんだから成り立ちません。

だからニールの人物描写があって、目の前のことにしか力を使わないというショボさが分かるからこそ成り立つ話なんですね。それがサイモン・ペッグだから余計納得しやすいです。権力を求めて(と言うほど考えてはないですが)アメリカ大統領になっても仕事が大変だし命も狙われるからやめちゃうし、戦争をなくそうとしても望み方がアバウトすぎて上手くいかない。というわけで自分の周囲の小さいことに終始するわけです。ただ、それが味ではあるんだけど「いやもっと色々できるよね?」って思っちゃって、それがどうにも引っ掛かってしまいました。まず自分のための金だろ!(ゲス)

大事なのは、現実を変えて望み通りにすると歪みが生じるということです。それが笑いにも繋がってるわけですが、例えば同僚のレイの好きな女性に彼を崇めさせる、というのは崇拝することの重さが分かるし(笑った)、自分を巨根にしようとしたらもりもり巨大化して立ってられないし(笑った)、犬のデニスは本能の赴くままはしゃいで喋りまくる(さすがのロビン・ウィリアムズ!笑った。でも泣ける……)。特にデニスが「本能を捨てさせないで」と言うのと、キャサリンが「心を操れる人のことなど信用できない」と言うのはもっともです。心も本能もなくなればもはや生物ってなに?となって、歩くウ◯コと変わらないわけですよ……いや、あの絵面はスゴかった……

勢い重視で細かいところまで気を使う感じの作品ではないですが、人が自由に望むことの危険性という示唆も含まれていると言えなくも、ない、かな?あの軍人なんかはその権化みたいなもんですが、やることがみみっちい……まあそんなことはどうでもいいですね。大いなる力には大いなる責任が伴う、でもそんな力より彼女の方が大事!ってことですよ。そして神気取りの極悪宇宙人は当然成敗!ってことですね。今後は犬のデニスが新世界の神になるわけですが(ならねーよ)、ビスケットをあげてればきっと平和な世界が訪れることでしょう。結構な犬映画でもありました。

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