2016
04.13

視線のレーザービーム。『のぞきめ』感想。

nozokime
2016年 日本 / 監督:三木康一郎

あらすじ
目が~!目が~~!(by 某大佐)



テレビ局に勤める彩乃がたまたま取材したある青年の怪死事件。腹がよじれて絶命したその青年は、ずっと何かに覗かれていると怯えていた。真相を追う彩乃だったが、とある村の「のぞきめ」の伝承を聞いてから、被害はさらに拡がっていく……。三津田信三の同名小説を、元AKB48の板野友美主演で実写化したホラー。

誰かに見られていると感じてひたすら隙間を塞ぐ男、という出だしの不気味さ。そしてひたすら重ねてくる「目」の持つ恐怖。だれもが感じたことのある「見られている」という感覚が現実だったら、という怖さ。そういうところがキモであろうと思うんですが……。民俗学的なアプローチ、秘境っぽい山奥の舞台、過去の陰惨な悲劇といったドラマは、目新しさはないものの雰囲気として悪くない。ただ、なぜそこでそういう行動?というノイズが多すぎるんですよ。うーん……雑だなあ。

ともちんこと板野友美はテレビの制作部勤務というわりと裏方な役ながらそこはさすがファッションリーダー、いま再流行の(ってテレビで言ってた)MA-1をさりげなく着こなしてるし、ネイルもキメキメです。でもホラー映画においてそんなのはどうでもいいんですよねえ。そんなともちんの彼氏役、どこかで見たぞ?と思い、途中で仮面ライダーウィザードだ!と気付いた白石隼也、彼はメリハリある演技がなかなか良かったです。ボソボソ喋るのに聞き取りやすいバリトンボイス、吉田鋼太郎も面白かったですが、彼の若いときを演じる役者が全然似てないのはどうなんだ。ちなみにちょっとしか出ないのに笑いをかっさらうつぶやきシローが良いです。

読んでないんですが、これ原作の方がよっぽど怖いんじゃなかろうか、とは思いました。三木康一郎はドラマ版『トリハダ』かコワ面白かっただけに、ちと残念。

↓以下、ネタバレ含む。








土着的な恐怖を描くのは好みなんですが、とにかく「なんで?」という描写が多いんですよ。制作部の人間がカメラ担いで現場行ってリポートまでするとか(そういうもの?)、仕事を早退するというのにまだ職場を突っ切ってる途中で彼氏に電話するとか(せめてフロア出てからでしょう)、和代さんをさっさと取り押さえてればトラックに轢かれず済んだのになんでボーッと見てるんだとか。彼氏が目にナイフをブッ刺すところは良いんですが、暴れる患者をフリーにしちゃいかんでしょう、医者。暗い部屋で彼女が叫んでるならまずは部屋の電気を点けよう?「開けてー!」とドアをガチャガチャするくらいなら合鍵使って開けよう?そもそもなぜ事件に首を突っ込むのか、わざわざ山奥まで車走らせたりまでするのに「気になるから」だけではかなり弱い。

主演のともちんは、叫び声が「キャー!」じゃなくて「ゥギャァァ!」なのはまあいいとして、ホラーなのに恐怖に怯える顔ができないのは致命的じゃないでしょうか(叫び顔じゃなくて)。その素のような演技がリアリティを感じさせる、というわけでもなく、白石隼也や吉田鋼太郎の演技テンションと釣り合わないから浮いて見えるんですよ。あとパソコン使う仕事ならあんなに爪伸ばしててやりにくくないのかな?最後に土に飲み込まれる手も爪ばかり気になりました。

「のぞきめ」に関しては、六部峠で怨霊と目が合った人が呪われる、だと思ってたら、なぜか病院で目の合ってないともちんの前に現れるし、体が捻れて死ぬのは母親がそうなったからでしょうが、あの状態で上半身だけが捻れるってかなり無理があるような……最後に少女が顔変化して土に引っ張りこむところなどはちょっと笑ってしまいました。まあそこらへんは別にいいんですよ。「目」を題材にされるのは怖いし、隙間から覗かれる恐怖も分かります。でも単に目があるだけではそんなに怖くない。隙間から覗く目は、その隙間の奥に目の持ち主が潜める空間がないと得体の知れないものがそこにいるという感じが薄れる気がするんですよ。地面に目が現れるときもあんなびっしりと目が並んでいてはその背後の空間が感じられず、ただ気持ち悪いだけ。だから観た後に「隙間が怖くなる」ということがない。これがイタい。斧持って襲ってくる家主の方がよっぽど怖いです。

過去の霊を鎮めるため、わかってあげることが大事だ、となるのは正攻法ながら良いんですが、カメラで撮ると言いながら撮らないんかい!というのがね。ただともちんが母親と同化して過去に迷い込むシーンから、あの少女がともちんに母の面影を重ねたからこそ引きずり込んだのだ、と考えると、ある意味救いとなったと言えるでしょう。で、今度は自分が救われるために化けて出る。恐怖の連鎖は終わらない、という締め方は良いと思います。ただそれなら最後の台詞は「それいつくれるの?」という即物的なものより「それくれるの嬉しいな」「早くこっちに来て」みたいな方がよかったなあと思うんですけどね。

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