2016
03.31

牧場を守れ!『ひつじのショーン いたずらラマがやってきた!』感想。

Shaun_the_Sheep_Llamas
Shaun the Sheep: The Farmer's Llamas / 2015年 イギリス / 監督:ジェイ・グレイス

あらすじ
ラマはラクダ科の動物(豆知識)。



牧場主が犬のビッツァーを連れて向かった見本市の会場へ付いてきたショーン。そこで面白そうな3頭のラマに出会い、牧場主に競り落とさせることに成功したショーンだったが……。ショーンらひつじたちや牧羊犬ビッツァーをはじめ、鶏や豚や牛の暮らすのどかな牧場を舞台に繰り広げる、アードマン・スタジオ制作のスラップスティック・コメディなクレイアニメ『ひつじのショーン』新作。

今回はネタバレなしで行きましょう。イギリスではテレビ放映されたスペシャル版を、日本でのみ特別劇場公開です。なんかそれ『SHERLOCK』でもやってた気がしますが……まあでもスクリーンで観れるのは嬉しいですね。タイトルの「いたずらラマがやってきた!」は約30分の中編ということで、加えてテレビシリーズのベストセレクション5話も同時上映です。劇場版として制作された『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』が素晴らしかったので、それ以来Eテレ土曜9時から放送している『ひつじのショーン』を毎週録画して観てるんですが、今回もちょい短めの話ながらかなり練られた話で良いです。

『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』は「家に帰る物語」でしたが、今回メインの中編は「家を取り戻す話」。『ショーン』にはヤギとかカラスとか虫とかネコとか普段から厄介な動物が色々出てくるんですが、それでも今作の3頭のラマは群を抜いてエグいです。タイトルにある「いたずら」というレベルではないですね。もはやバイオレンスに近い。破壊の限りを尽くす非道っぷりは思わず引くほどで、あの牧場主がビビってしまい役に立たないというのも衝撃。果たして非力なひつじたちは太刀打ちできるのか!

30分の中編ながら、動きで魅せる組立や伏線の使い方はやはり素晴らしいです。タンスをすり抜けるトランポリンなどは秀逸でした。ラマたちの暴れっぷりによる破壊描写の徹底ぶりもさることながら、親しみを持てると思ったら本質が別物だったと気付いたときの恐怖、そして追い詰められるスリルは、このほのぼの世界ではかなりの脅威。ビッツァーが不良犬に憧れて痛い目を見る『ふりょう少年』というエピソードがありますが、あれの比じゃないです。

それだけにショーンやビッツァーたちが知恵と勇気を振り絞って挑む協力プレイが熱いです。もちろんティミーやシャーリーやお馴染みの面子もフル活躍。帰るべき家は自分たちで守る、ということで『バック・トゥ・ザ・ホーム』の続きとして観ることもできますね。ラストのオチも思いきってて笑うし、投げっぱなしにしないエンドロールも良いですよ。

 ※

せっかくなので同映の短編5編についてもご紹介。ほとんどテレビで観ちゃってたエピソードでしたが、何度観ても面白いので問題なし。ただ主題歌が原語版だったのが、日本語版でカールスモーキー石井が歌うのに慣れ親しんでる身としてはちょっと違和感ありましたが……

『サタデー・ナイト・ショーン』
ゴミ捨て場で見つけた古いレコードプレイヤーでパーリナイ!楽しむときはとことん楽しむひつじたちの姿が楽しいです。様子を見に来た牧場主には絶対バレない切り替えとか、いたずらブタたちが古いアメリカ映画のタチ悪いヤンキーっぽいのとか笑えます。

『パーティーをしよう』
牧場主が自分の誕生日パーティーを計画するも、その招待状をビッツァーがダメにしてしまった!牧場主が誰も来ないパーティーで一人たそがれるのはかわいそすぎる、ということで牧場の皆で仮装した友人のフリでパーティー参加。バレないどころか思いがけない展開に。シャーリーの有能さが光ります。

『ショーンの恋』
あのショーンがまさかの恋に落ちる!という異色作。意表を突く展開で印象深い一編です。メスひつじのイイ女っぷりもなかなかのもの。しかもキッチリとラブストーリーに仕上げてあるんですね。ショーンの涙が見られるというのも珍しいです。あとビッツァー頑張りすぎ。

『ティミーのぬいぐるみ』
ティミーお気に入りのぬいぐるみを牧場主が持って行ってしまったために、ショーンたちはそれを取り戻すことに。牧場主宅でドタバタを繰り広げるパターンですね。ぬいぐるみを抱っこするティミーがカワイイぞ。シーズンによって出たり出なかったりする家猫のピッツリーが登場します。

『おもいでの木』
ショーンたちがフル活用して遊んでいる牧場の大きな木、それを牧場主が切り倒して薪にしようとするのを阻止すべく奮闘するひつじたち。ひつじvs牧場主のパターンですが、これが思いがけない感動的な着地を見せます。ちなみに『思い出のフィルム』というエピソードも泣けるので機会があればぜひどうぞ。

 ※

これら優れた短編の積み重ねがあって中・長編が活きてくる、というお手本のようなアニメですね。そんなショーンも『ウォレスとグルミット 危機一髪!』で初登場してから20周年だそうですよ。それだけやっててクオリティが落ちないのは素晴らしい。また長編も作って欲しいですねえ。

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