2016
03.06

地球大好き!『X-ミッション』感想。

Point_Break_2015
Point Break / 2015年 アメリカ / 監督:エリクソン・コア

あらすじ
目指せオザキ・エイト!



エクストリームスポーツのスキルを駆使したグループによる犯罪行為が続く。元アスリートのFBI捜査官ジョニー・ユタは、その容疑者の疑いがあるボーディの率いるアスリート集団に潜入捜査をすることに。しかしやがてジョニーとボーディの間に友情が芽生え始め……。様々なエクストリームスポーツを用いたアクション映画。

パトリック・スウェイジとキアヌ・リーブスが主演したキャスリン・ビグロー監督『ハートブルー』(1991)のリメイクです。最大の見どころはトップアスリートたちのガチスタントによるアクション・シーン。モトクロス、スカイダイビング、スノーボード、サーフィン、ウィングスーツ、ロッククライミングとあらゆるエクストリームを網羅した映像は迫力。単純に「すげーな!」と感嘆します。そんな技術を使って犯罪を行うグループに潜入したFBI捜査官ジョニー。要するに潜入捜査ものであり、とくれば潜入によって自身の任務に疑問を抱くとか、潜入先の人物たちとの関係性みたいなものがクローズアップされるもの。

実際ジョニーはグループのリーダであるボーディに共感し始め、でも潜入は任務の一環であるという板挟みになっていくのですが、この二人が通じ合うポイントに共感できないため今一つ響いてきません。それがこの犯罪グループの動機でもあるのでクライムストーリーとしても色々と首を傾げます。ちょっとうろ覚えなんですが、リメイク元の『ハートブルー』もそうだったっけ……?ちなみにボーディ役のエドガー・ラミレスは『ゼロ・ダーク・サーティ』に出演しており、同じくキャスリン・ビグロー監督作である『ハートブルー』とちょっと繋がりますね。また『ハートブルー』と言えばエドガー・ライト監督『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』で超絶リスペクトされているのが笑えるんですが、そこでもなぞっているオリジナル版の名シーンが本作では残念なことになっており、そんな残念さが随所に目立ちます。

人間の限界を越えた凄いことをやってるのは分かる。いや実際凄いです。ただエクストリームスポーツの映像がエクストリームなアクション映画とイコールか、と言えば微妙。一応話のスジに沿ったアクションではありますが、そのスジ自体がモヤモヤしたものなので、よく分からなくなってくるのです。

↓以下、ネタバレ含む。








「とにかく地球大好き!」な人たちが「地球をいじめる奴はお仕置きだ!」と暴れ、元々地球大好きなFBI捜査官も惹かれちゃうという、エコなのかそうでもないのか悩む話。犯行の目的が金ではなく、刺激を得るためでもなく、自然と一体になって?自然に返礼する?自然が大事だから?みたいなことらしいです。口ではキレイごと言っても要は金のため、なら分かるんですよ。でもスポーツとしての活動でスポンサーはいるから資金はあるようで、入手した金などもパーッとバラ撒いちゃう。あるいはスリルを得るための犯罪なら分かるんだけど、それも違うらしい。それでいて「地球を大事に」とか言いながらその地球の表面を爆弾で吹っ飛ばしたりする。うーん、よく分からない。

しかしその「よく分からない理由」は意外にもハッキリしています。オノ・オザキの8つの修練、通称オザキ・エイトがボーディーたちの思想の根底にあるからですね。オザキ・エイトとは、なんか8つのエクストリームな挑戦で?それを成し遂げると、えーと、何かスゴいらしいです。ああっやっぱりよく分からない。要は精神性の高いチャレンジということかな?オノ・オザキってどっちも名字みたいだな?などと考えましたが、まあとにかくこの8つになぞらえて犯行に及んでいるらしい。でも犯行に関係なくチャレンジしたりもしてるんですよね。うーん、よく分からない。

ひょっとしたらこの「よく分からない」ということが大事なのかもしれません。ボーディたちが命懸けでオザキ・エイトに挑む理由、それは万人には理解しがたいものですが、これは登山家がなぜ山に登るのか?に近いものでしょう。自然に触れることで得るものはあるし、それが何かは明瞭に言語化しにくい場合もあります。自分たちが触れ合うフィールドを汚されたら怒ることもあるでしょう。ポイントはボーディたちの信奉にジョニーが明らかにシンパシィを感じており、それはジョニー以外のFBIは誰も理解できないこと、それでもジョニーは任務に挑むということです。ジョニーは友人の死によってアスリートとしての自由さを捨てて、真逆である管理される立場を選びます。しかしエクストリームスポーツを通した興奮や達成感、仲間たちとの繋がりにより本来の自分を取り戻していく。そこでジョニーが選ぶ行動が何かということです。

これが上手くいけば、男たちの友情を通した悲しき再起の物語としてグッとくるところなんですが……ボーディを撃てず宙に向けて銃を撃つ、愛し合った彼女を死なせてしまう、最後落ちたボーディを見失う、などの大事な場面があっけなくて情感に欠けるためにスカスカになってしまいます。他にもジョニーが試練を既に3つやってるって知ってるのになぜバレないの?とか、ファイトクラブみたいな地下格闘のシーンはオザキ・エイト関係なくない?とか、パーティー中に犯行の動画を「俺たちがー」とか言って歩いていった奴らは結局なんなの?とか、色々と雑。物語が雑なために、それを繋いでいるアクションも「凄いことをやっている映像」止まりになってしまい、アクション映画として昇華されない。そこが非常に残念です。

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