2016
02.17

最強バディ、最期の大暴れ。『さらば あぶない刑事』感想。

abudeka_7
2016年 日本 / 監督:村川透

あらすじ
いくぜ、タカ!オーケー、ユージ!



警察を定年退職するまであと5日となったタカ&ユージだが、新興ヤクザ幹部の伊能を追って各国マフィアが入り乱れるブラックマーケットに殴り込み。しかし伊能が殺され、中南米の凶悪な犯罪組織BOBが横浜に進出してくる。二人は悪党どもを止められるのか。2005年の『まだまだあぶない刑事』以来10年ぶりに製作されたシリーズ7作目。

あのタカとユージが帰って来た!マジか!最初のドラマシリーズ放送が1986年なので、足掛け30年ってことになります。でも二人はあの頃のままに拳銃ぶっ放しの捜査令状無視での暴れまくり。当然現代の刑事ドラマの潮流に比べればリアルさは皆無と言っていいでしょう。その荒唐無稽さ、勢い重視のドラマ作りは、現実感を求める人には滑稽に見えるかもしれません。しかしこのキャラの立ち方、ケレン溢れるアクションの見せ方、ウィットのある会話、そして単純に「あー楽しかった」と思える気軽さは、改めて観るとハリウッドの刑事バディアクションと変わらないレベルだと思うんですよ。

横浜港署の型破りデカ、ダンディ鷹山とセクシー大下を演じるのはもちろん舘ひろしと柴田恭兵。あと5日で定年を迎えるという設定ですが、二人ともそんな人の動きじゃないぞ。なんだあのキレのいいアクション!敵役ガルシアの吉川晃司も存在感、動き共に最高で、昔ステージでよく見せた垂直蹴りを放ったときにはかっけえー!ってなりました。夕輝壽太のディーノ・カトウも危ない存在感が凄い。敵役が良いとそれだけで燃えますね。お馴染みの面子も揃って登場し、仲村トオルなんてもうベテランの域なのにしっかりあの頃のトオルに戻ってるし、浅野温子のイタいキャラもそのまんま。そして木の実ナナの若々しさはもはや妖怪の域です。ちょっとヨーダに似てきた……あっ、誉めてますよ!他にもあんな人やあんな人まで。監督もドラマ版を多く手掛けた村川透なので、あの頃の雰囲気を再び出すことも手慣れた感じです。

前2作はほとんど覚えてないんだけど、何となくギャグ寄りだった印象。それに比べると今作は様々なお約束もキッチリ入れつつ、ドラマ時代のテイストに寄せてきてる気がします。無理に現代のトレンドに合わせてないというか、「あぶデカはこれでいいんだ」という開き直りさえ感じて、それが好印象。言わば原点回帰です。ちょっと演出面で首を傾げるところもありますが、ストーリーも法治国家らしからぬ展開ながらわりとしっかりしてるし、まあいいでしょう。シリーズ未見の人がどう思うかは分かりませんが、一つの時代を築いた男たちの生き様はカッコいいぞ。僕が子供の頃はタカとユージはカッコいい大人の象徴だったし、おっさんになった今でも二人がカッコいい大人であり続けるのを観て「おれもまだまだだな」と思いましたよ。若手へのバトンタッチなどしない、二人は主人公であり続けるのです。

↓以下、ネタバレ含む。








回想で全く同じシーンを2回流したり、なぜか意味のわからない粗いスロー映像が入ってきたりと、平たく言うとダサいところもあります。クライマックスでユージがタカにショットガンを渡すシーンはさすがにカッコ悪いし、恋人の死に暮れるタカに薫が激を飛ばすのももうちょい言い方があるよなあと思うんですが。ユージが気にかける青年も行動が頭悪いし。

とは言え、それらを凌駕する良いシーンも目白押しだから許せます。留置場を軽やかに躍りながら登場するユージ、闇の奥からスッと現れるタカ、というアバンタイトルからしてニヤニヤしちゃうし、ブラックマーケットに車で乗り込んでガンガンぶち当たる序盤は「日本のカーアクション!」と思うし、もう定年とか何の冗談だってくらい暴れまくり。特にユージvsディーノのスピード対決、タカvsガルシアのパワー&一撃必殺バトルなんて漏らしますよ。吉川晃司が足技ってのが適材!あと感心したのは、海外ロケとかしなくても事件のグローバル感が結構出てるところですね。逆にエピローグのコメディシーンのために海外行っちゃったというのも笑います。

シリーズを知ってる人には嬉しいお約束やサプライズも満載。よもや再び『RUNNING SHOT』をバックに全力ダッシュする柴田恭兵が観れるとは!そして期待通りにやってくれる舘ひろしの十八番、バイク手放しショットガン!そしてエンドロールの『冷たい太陽』!この二人が定年なら小林稔侍はとっくに引退だと思うんですが、管理職はまた別なのだろうか。あとアレです、まさかの『007 スカイフォール』でアストン・マーチンが出てきたときの高揚と同じものを味わわせてくれる、あのゴールドの車!すまん、車種が分からん!さらには既に定年を迎えて出番なしかと思ったらちゃっかり出てくるパパさんにナカさんや、「瞳ちゃん、お茶!」でお馴染みの瞳ちゃんがまだお茶汲みやってたりとか、あの筋肉刑事(いまだに役名が分からない)までが出てくるというね。

ただ、彼らの周りが全く変わっていないかというとそういうわけではないんですね。二人は他の署員とはほとんど絡まないし、席も二人だけ離れて並んでる。現場では他署員とはすれ違いだし、あまり関わりたくないなあと思われてるのが若干透けて見えます。薫も閑職に回されてるし、松村課長も警察を離れているし、トオルも組織を回そうと頑張っている(多分)。ユージがトオルを操る際に使う「女、紹介する」も逆に突っ込まれたりね。しかし、それでも有事の際は抜群の連携で事件に向かっていくわけで、自分を通すのが難しい現代において基本変わらないというのは我々にとってはやはり憧れであるわけですよ。逆に言えば、変わらない、変われないからこそ物語上でタカの恋は終わりを迎える必要があった、と言えるかも。そう考えると奈々緒の演じる夏海の死はさらに悲しみを増し、かつて見せたことのないタカの慟哭に余計心を打たれます。

さらには、あれだけ死なせたくないと言いながら結局信頼して二人に任せるトオル、それをかつて中条静夫が演じていた近藤課長に「似てきたな」と評するユージ。「息子をダンディなデカにしたい」と語るユージの夢、「お前と出会えてよかった」というタカの言葉。もうね、泣きますよ。最後に二人が飛び出していくところで止まるのは「アメリカン・ニューシネマか!」とも思いますが、あの二人には似つかわしい。日本の誇るヒーローコンビともお別れ。さらば、あぶない刑事……

と思ったら生きてんのかい!……というライトな展開までが『あぶない刑事』ですね!ニュージーランドのシーンからドラマでお馴染みのBGMが流れるのも嬉しい。引退後は「あぶない探偵」なのか?あぶタンなのか?という愉快な気持ちで終わってくれる。そしてラストショットのジャンプをまさかのドラマ版エンドロールのラストに重ね、過去作の名シーンをフラッシュバック。長い歴史を歩んできたな、という実感がこみ上げてじんわりとする後味が、なんとも心地よいです。

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1031-47776ef5
トラックバック
back-to-top